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2024年04月号『眼瞼ミオキミアの鍼灸治療』

「片目の下まぶたがピクピク痙攣して、なかなか治らない」といった症状で眼科を受診される患者さんも多くおられます。これは、眼瞼ミオキミアといって、上まぶたや下まぶたが、自分の意思とは関係なくピクピク動く状態です。

眼瞼痙攣との違いは持続時間が長いことと、不規則で小さな動きという点です。
原因は、パソコンの長時間操作などがもたらす眼精疲労、睡眠不足やストレスなどによる一過性の神経の興奮と考えられ、ほとんどは一過性の症状であり、数日から数週間で自然に症状は治まります。眼瞼ミオキミアは、眼瞼痙攣とは異なり心配はありませんが、長期にわたり持続したり、他にも神経症状がある場合には、他の病気の可能性も考え、MRIで脳の異常がないか調べることが大切です。

病院での治療は、眼精疲労をとる成分配合の目薬、薬物療法、ボトックス毒素注射などですが、回復しても再発したりする場合も多いです。
中国医学(鍼灸、漢方薬)では、眼瞼ミオキミアに対して、鍼灸治療の場合、眼神経は、三叉神経の第1支であり、眼の周りまで伸びている神経なので、耳の後ろの三叉神経の出口に近い、エイ風という経穴(ツボ)に刺鍼し、眼神経まで神経の流れを通し、さらに眼の周囲の経穴に直接鍼治療を行い、患部の血流を改善し、痙攣を軽減させます。

また、漢方薬治療として、つぎのような処方があります。

  • ・「天麻丸」ストレスなどから乱れた自律神経を整える
  • ・「四物顆粒」血液の質や血中バランスを向上させる
  • ・「正天丸」血流を妨げる瘀血(おけつ)を除去し血液をサラサラに保ち血流を良くする
  • ・「五苓散」水分代謝を促進し、浮腫を改善し血液や神経の流れを良くする

これらの漢方薬を中国医学的診断に基づき、それぞれの原因に合わせて処方し、服用することで、原因体質が根本的に改善し、再発を起こりにくくさせます。

鍼灸治療や漢方薬治療は、現代医学とは異なる視点から診るもう一つの医学なのです。

投稿者:tcm-editor

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