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2024年02月号『尿漏れの鍼灸治療』

尿漏れは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態のことで、尿道が男性と比べて短い女性や、加齢で筋力が衰えた高齢者に起こりやすい症状です。

気が付いたら尿が少し漏れてしまっていた・・・。そんな軽い「尿漏れ」は女性や高齢者に多いとされますが、実は働き盛りの男性でも尿トラブルに悩んでいる人が多いのです。

「下着に尿がじわっとしみた感覚があった」「尿が数滴程度たれた」「ズボンにシミができた」こうした経験があると回答した割合は、20~60代男性の半数に上り、20~30代でも4割近くが経験しているという調査結果があります。

泌尿器科を受診し、男性なら前立腺肥大などのように何らかの原因があれば薬物療法などもありますが、そうではない場合には、生活上の注意として膀胱訓練や、骨盤底筋運動などでの対応しかないのが現状です。

中国医学では、昔から尿漏れや頻尿などを「腎陽虧虚」「脾気虧虚」「気滞血瘀」「外感寒邪」などの根本原因を分類し、それぞれのタイプに合った治療を鍼灸や漢方薬を用いて、根治的な体質改善を行います。

また、局部的な鍼治療として腹部や腰仙部のツボ(経穴)に刺鍼した鍼にパルス(低周波電気治療器)を流し、骨盤底筋や周囲の筋肉、神経を直接刺激することで高い治療効果を上げています。

国際排泄学会で、尿漏れ、頻尿、失禁などの症状に対する鍼灸治療の有効性が認められ研究報告が発表されています。

【2015年12カ所の中国大学病院の針灸科で、2013年10月から 2015年5月の間に腹圧性尿失禁の女性504人に対し行われた多施設無作為化臨床試験結果では、6週間の治療期間にわたって行われた腰仙部領域を含む低周波電気鍼治療を受けた参加者の64.6%が、治療後の「尿漏れの量が、50%以上減少」「効果は治療後24週間持続」という効果(結果)がみられ、尿漏れを減らす上で、臨床的に有効であると実証された。】

当院でも女性の「切迫性尿失禁」の治療に効果を上げています。

投稿者:tcm-editor

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