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2024年01月号『脊椎圧迫骨折と鍼灸治療』

脊椎圧迫骨折は、尻もち、転倒、重い物を持ち上げた時などに、背骨に大きな力が加わった際に起こり、強い痛みを伴うケースが多いのですが、何もきっかけがなく日常生活の中で徐々に進行して起こることもあります。「背中が痛い」「寝返りを打つ時に背中が痛む」「背中が曲がってくる」などの症状は、脊椎圧迫骨折の可能性があります。

原因は、ほとんどの場合、骨粗鬆症や加齢などにより骨密度(骨量)が低下して弱くなり骨折しやすくなっているために起こります。また、落下転倒や交通事故等の外傷性のものや、転移性骨腫瘍など病気が原因の場合もあります。

病院の治療では、基本的に患部周囲を固定するコルセットやギプスを3~4か月間ほど着用して回復を待ちます。場合によっては、骨セメント治療という圧迫骨折した椎骨にセメントや手術でステントを入れることもあります。長い間、なかなか痛みが引かないため、日常生活に大きな影響を及ぼし深刻です。

中国の病院では、脊椎圧迫骨折治療には、西洋医学の治療に鍼灸治療や漢方薬を併用します。患部(骨折部)周囲に直接、鍼灸治療することで血流を上げ、早期回復を促進させます。

また、中国医学では*『骨は「腎」が司る』とされ、骨粗鬆症の予防には「」の強化が重要と考え、「補腎薬」を中心に症状や体質に合わせた漢方薬が処方されます。

*『中国医学の「」は西洋医学の腎臓よりも働きや関係する範囲が広く、腎臓、膀胱に加えて、骨、歯、髪、脳(髄海)、耳など、さらに泌尿器系、生殖、発育に関わる内分泌系の働きも含まれます。「腎」の働きが低下は、「老化」を示しており、ホルモン分泌の低下、生殖機能の低下、骨がもろくなること等につながります。』 中国医学では3000年も前から「腎」が骨の形成や維持と深く関わっていることを突き止め、治療してきたのです。
中国医学も西洋医学と同じように正式にWHOに認められた「医学」です。

投稿者:tcm-editor

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