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2023年09月号『中国の医療制度について』

中国の医師は卒業した医科系大学の種類、中国医学系大学または西洋医学系大学かで、中医師と西洋医師に分けられています。

中国では、中医師も西洋医師も中薬と西洋薬の両方の処方権を持ち、針灸治療も行えます。
両者の身分と地位は全く同じ「医師」なのです。その職階もすべて同様で、いずれも実習医師→医師→主治医師→副主任医師→主任医師の順で昇進するシステムになっています。

今日の中国では、医科系大学の内、中国医学系と西洋医学系の学生数比率は、一般的には3:7か4:6程であるといわれています。ちなみに、西洋医学系の学生が医師免許習得後に、中国医学の漢方薬を扱う中医師に変更することも可能で、またその逆で中国医学系の医師が、西洋医学の医師へ変更することも可能です。

日本のように、鍼灸師という免許制度も、個人の鍼灸院という診療形式も中国では存在しません。総合病院で、西洋医学と同様に、保険医療に組み込まれています。

例えば、日本では考えられませんが、針灸治療のために入院も出来ます。
さらに、総合診療なので、西洋医学、中国医学の分け隔てなく、西洋医学の薬や、中薬治療を適材適所に併用することが可能な医療体制となっています。

このように正式な医学として、針灸治療、中薬治療が、国公立病院に効率よく統合医療として取り入れられている中国の医療現場と、日本の総合病院などの医療現場を比較すると、日本の医療制度は、患者様にとって統合医療の恩恵を全く受けられない非常に残念な状況です。

日本では患者様が針灸治療を受けるためには、個人鍼灸院を自身で探し出し、さらに針灸治療は保険診療ではなく、自己負担となり、治療費の負担も大きいのが現状です。

中国医学が、WHOに正式な医学と認められている以上、日本でも針灸治療、漢方薬治療を、1日も早く、保険診療に組み込まれ、多くの患者様の助けになることを願っています。

投稿者:tcm-editor

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