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2022年03月号『コロナ後遺症の味覚・嗅覚障害症状に鍼灸治療』

アメリカのCBS系列のテレビ局「ニュースチャンネル5」公式サイト(2022.2.17) に「COVID-19後遺症に苦しむ人達は、長引く症状の改善のために鍼灸治療に目を向けている」という記事を掲載しています。 その中で、嗅覚障害に悩むテネシー州に住む女性が、鍼灸治療を試み、その結果、嗅覚が改善してきていることが紹介されています。

彼女は、香水の香りも判らないほど嗅覚が麻痺し、「私は、もしかする自分では分からないだけで、悪い臭いがしているのではないか?」と悩んでいたといいます。しかし、現在は鍼灸治療の効果で「私の症状は、間違いなく、少しずつ改善し、臭いも分かるように回復している」と笑顔で答えています。

治療担当医は、嗅覚障害に対する鍼灸治療で、実際に刺鍼する経穴(ツボ)は、鼻の周辺の経穴を用いてます。「鼻の両側面にある経穴には、嗅覚や鼻の働きの改善に素晴らしい効果があり、また、眉間にある経穴には、副鼻腔や鼻の問題改善に適しており、そのうえ頭痛にも効果がある」さらに「鍼灸治療は、体内の気血(エネルギー、血液)の流れを回復させることによって効果をさらに発揮」と説明している。
ここで紹介されている経穴(ツボ)は、「迎香穴」と「印堂穴」で、当院でもアレルギー性鼻炎など鼻科疾患の治療によく用います。分かりやすく説明すると鼻の周囲の経穴に鍼灸治療で、鍼を刺鍼することで、鼻粘膜の血流が改善されます。コロナウイルスの侵襲で傷つき破壊された、鼻粘膜に存在する嗅細胞を再生するための栄養(血液)が、しっかり患部に届くことで症状を回復させることができるのです。
当院にもコロナの後遺症で嗅覚障害のある患者様が来院されましたが、10数回の治療を経て治癒されました。

~ニオイを感じる仕組~
鼻からニオイ物質が流入すると、ニオイ物質は鼻腔最上部の嗅上皮と呼ばれる粘膜に溶け込み感知されます。すると、嗅上皮にある嗅細胞が電気信号を発生し、電気信号が嗅神経→嗅球→脳(大脳辺縁系)へと伝達し、ニオイ感覚が起きます。

投稿者:tcm-editor

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