五苓散は、張仲景*が著した中国の古典医学書「傷寒論(ショウカンロン)」に「体内の水分代謝を調整する作用がある」と記載されています。
五苓散の「五」は、構成生薬が五種類であることを意味し、その中の主薬である「猪苓(ちょれい)」の「苓」の字と合わせて漢方薬処方名にしたのが由来です。

~【五苓散】の主成分である五つの生薬~
- ・澤瀉(タクシャ):尿量を増やし、むくみを軽減する。
- ・茯苓 (ブクリョウ):尿量を増やし、体の水分の滞りを解消する。
- ・猪苓(チョレイ):尿量を増やし、体内の水分バランスを整える。
- ・白朮(ビャクジュツ):体の水分を調整し、消化を助ける。
- ・桂皮 (ケイヒ):体温を上げ、体を温める。
五苓散は、体内の余分な水分を排出する利水作用があり、尿量を増やし、むくみ改善・頭痛・めまい・吐き気・腹痛などの症状緩和・二日酔い・急性胃腸炎・水毒(水滞)を改善する効果があります。
あまり日本では知られていませんが、中国では、関節の腫れやヘルニアに伴うむくみや神経症状の緩和にも応用しています。また、最近の日本の医学論文でも、脳梗塞や脳腫瘍の脳浮腫に有効であったとされる報告もされています。
「漢方薬はあまり効かない!」「漢方薬は長く服用する必要がある・・・」などと、日本では良く耳にするのですが、中国医学の診断に基づき、正確な漢方薬を選択し服用すれば、即効性の期待できる漢方薬も多くあります。
『中国医学は、古くて最も新しい医学なのです。』

*張仲景(西暦150年~219年)は、中国で医聖と呼ばれ、中国内陸部の南陽市の出身です。現在、南陽市には、名を冠にした「張仲景国医薬大学」という中国医学(鍼灸治療、漢方薬)の大学があります。ちなみに私の恩師の一人である、李世珍老師が生前教鞭を執っていた学院で、僕も留学していた経験があります
投稿者:tcm-editor