○麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、まぶたの縁が赤くなる、押すと痛いという症状から始まります。次第に、触れると痛む小さな丸い腫れものができ、ゴロゴロとした異物感を感じることもあります。腫れた部分の中心に黄色っぽい小さな点状のニキビのようなものができる場合、その腫れは2~4日後に破れて、少量の膿が排出されて回復するという傾向があります。
原因は、まぶたの腺への細菌感染で、マイボーム腺(涙の脂分を出す腺)への感染(内麦粒腫)と、まつげの毛根や皮脂腺への感染(外麦粒腫)に分けられます。また、内麦粒腫では、外麦粒腫に比べて痛みやその他の症状が強く現れます。
○霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、初期症状としてまぶたの腫れ、軽い痛み、刺激感などが現れます。しかし、これらの症状は数日で消え、まぶたに丸くて痛みのない腫れが残ります。この腫れは、最初の1週間程度で徐々に大きくなります。
原因は、マイボーム腺の出口が詰まり、そこに脂肪が溜まって慢性的な炎症が起こることで発生します。
眼科治療では、麦粒腫は、一般的に抗菌薬の点眼薬や軟膏で治療します。場合によっては切開して膿を出す処置が必要になることもあります。
また、霰粒腫は、多くの場合、自然に治ることが多いのですが、症状が重い場合や、自然治癒しない場合は、点眼薬や軟膏、ステロイド注射、手術などの治療法があります。
麦粒腫、霰粒腫の治療は、中国医学の古い医学書にも記載があり、中国では昔から行われてきました。
鍼治療では、炎症を抑えるため、清熱効果のある経穴(ツボ)や、耳にある耳尖穴には刺絡(経穴から少し血を出す)を行い、さらに膿などを排出させるために特殊な針を用いて患部を少し切開する治療も行っていました。
現在の中国の医療現場でも、日本と同様に西洋医学の抗菌薬などの治療がメインですが、補完医療として、なかなか治らないケースや何度も再発するケースには、中国医学治療(鍼灸治療、漢方薬)が併用されています。麦粒腫、霰粒腫になりやすい体質として、アレルギータイプ(花粉症、アトピーなど)、水分不足タイプ(ドライアイ、シェーグレン症候群など)、熱っぽいタイプ(更年期障害、ストレスなど)を中国医学的に分類し、その原因体質を根本的に体質改善治療することで、高い治療効果を上げています。
『中国医学は、現代医学とは違う角度から人体を診る、もう一つの医学なのです』
投稿者:tcm-editor