多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、かつてはウェゲナー肉芽腫症と呼ばれていました。
発熱、体重減少、全身倦怠感 、食欲不振、血痰、鼻出血、急速な腎機能低下、紫斑などの症状が現れ、抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性で診断します。鼻・肺・腎臓などの小中の血管に炎症と肉芽腫(炎症性病変)が生じる、自己免疫疾患です。
この病気は、推定発症年齢は男性が30~60歳代、女性が50~60歳代で、年間発症率は100万人あたり2人と報告されています。 欧米に比べて日本では比較的頻度の少ない血管炎で、遺伝性や性差も認められず、原因は不明です。
西洋医学の治療は、免疫抑制療法が中心で、副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制剤を併用します。寛解後も、再発率が30~60%と高いため、予防のための維持療法が継続して行われます。
中国医学では、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、中国の古い医学書では「脈痹(血液や陽気(体を動かすエネルギー)が血脈(血管)の中で停滞し、正常に循環しなくなった状態)」や、「虚労(病気や過労、心労、飲食の不摂生などで気力・体力が衰え、生命力が低下した状態)」の範疇に属し、基本的に肺、脾、腎の働きの失調が関係していると考えています。
鍼灸治療、漢方薬治療では、大きく4つのタイプに分け治療します。
- 1)熱毒瘀阻型:体内に強い炎症や熱感(熱毒)がこもり、その熱が血液をドロドロ(瘀血)にさせ、血流を滞らせ、組織の破壊や痛み、化膿などを引き起こしている状態(急性期に多い)
- 2)気陰両虚型:生命エネルギーである「気」と、身体を潤す体液である「津液(陰)」の両方が不足して、ほてり、倦怠感、息切れなどを引き起こしている状態(緩解期に多い)
- 3)脾腎陽虚型:「脾」の消化吸収の力が低下し、気(エネルギー)が不足し、「腎」の陽(体を温める、生命活動を活発にする力)」が弱くなり、体が冷え、疲労感、消化不良、むくみなどを引き起こす状態
- 4)血瘀阻絡型:血液の循環が滞る「血瘀(けつお)」が原因で、栄養や酸素を運ぶ経絡(けいらく)が流れ難くなり、痛みやしびれ、慢性的な不調を引き起こしている状態
中国医学治療(鍼灸治療、漢方薬)は、個々の症状や体質に応じて適切な弁証(上記の4種のタイプ分け)をすることが重要です。それぞれの弁証に合った、治療を行うことで、体内の気や血の流れを調整し、免疫機能を整え、炎症反応を抑制し、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の症状改善や疾患の進行抑制、再発防止に大変有効です。
『中国医学は、現代医学とは違う角度から人体を診る、もう一つの医学なのです』
投稿者:tcm-editor

