紫斑病(しはん)とは、止血に重要な働きをしている血小板が減少してしまうことなどが原因で、血が止まりにくくなり、皮膚内出血が起こり、紫紅色、あるいは暗紫褐色の斑が皮膚に生じる病気です。その原因は様々で、炎症を伴うものと、伴わないものがあります。
【非炎症性紫斑】には、血小板の減少(血小板減少性紫斑)や凝固因子の異常(血友病)、血管組織の脆弱化による紫斑(老人性紫斑)、原因不明の色素性紫斑病などがあります。
【炎症性紫斑】は、主に血管炎で生じます。血管炎による紫斑では触ると軽いしこりを触れ、血疱や潰瘍を混じることが多いのも特徴で、場合によっては微熱、倦怠感などの全身症状や腎機能障害、神経症状を起こすことがあります。
紫斑病の西洋医学治療については、原因や症状の程度により異なりますが、基本的には安静を保ち、症状に合わせて止血薬や血管強化薬、疼痛に応じて鎮痛薬投与といった対症療法を行うことがほとんどです。また、炎症性の場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤を使用するため、患者の負担は大きく、寛解後も再発するケースもあり問題です。
中国医学では、紫斑病は、紫癜(ヅ・ディエン)と呼ばれ、遙か昔から治療されてきた長い歴史があります。
中国医学では、大きく以下の4つに病態を分類し治療します。
- ・風熱傷絡:風熱の邪が体内に侵襲し、邪熱が脈絡を傷つけ血液が皮下に漏れる
- ・脾不統血:脾の統血(脈絡中に血を固摂すること)作用が低下する
- ・血熱妄行:体内で血熱(血に邪熱が及んだ状態)や熱毒が生じ、細血脈中の血流が過度に速く流れ漏れ出す
- ・陰虚火旺:身体を冷やし潤す津液(陰)が不足し、身体を温めるエネルギーが過剰になり出血しやすくなる
中国医学の治療では、上記にある4つの紫斑の原因に合わせて、西洋医学で言う、止血や血小板数の増加作用のある、三陰交穴、血海穴、脾腧穴などに、鍼灸治療を行います。さらに、漢方薬治療では、芎帰膠艾湯(きゅうきょうがいとう)などの止血の働きのある漢方薬や帰脾湯(きひとう)などの脾の働きを正常にする漢方薬を用いて治療します。
現在の中国医療現場では、非炎症性紫斑の治療では、鍼灸治療や漢方薬のみで対応することも多いですが、非炎症性紫斑ではない炎症性紫斑の治療に対しては、西洋医学のステロイド治療などと中国医学治療を併用する統合医療というカタチで、ステロイドの副作用や投与期間の短縮、再発の防止に高い効果を上げています。
投稿者:tcm-editor