数年前2022年の“全日本鍼灸学会雑誌”に医学部で鍼灸治療や、漢方薬の授業や取り組みの現状について紹介されていました。
2001年から医学部の教育に、漢方医学が導入されるようになり、2020年には日本漢方医学教育協議会から漢方医学についての「漢方医学講義テキスト」が作成されました。
現在、全国の医学部で漢方薬についての教育が行われている一方で、漢方医学に含まれる鍼灸治療についての教育は全国の医学部の約50%でしか行われていないのが現状です。
特に授業の時間数が少ないのが、鍼灸治療の教育の問題点の一つとなっています。
将来、保険診療で処方できる医療用漢方製剤のある漢方薬と違い、鍼灸治療に対して認識が浅く、「疑わしい・怪しい」「科学的根拠がない」「鍼は痛い」「灸は熱い」などの知識不足からくるネガティブな印象を持っている医学部生や興味を示さない医学部生も多く、これでは、医師として医療現場に立つようになった時にも、統合医療として、鍼灸治療を取り入れるために鍼灸師との連携を取って診療する様なカタチは生まれません。
一方、欧米などの医療現場では、鍼灸治療や漢方薬は統合医療の要素として補完・代替療法で、補完・代替療法の一つであるという認識は、早くから広まっています。
WHOも推奨しているにも関わらず、日本では、統合医療は一向に進んでいません。
また、鍼灸師側にも問題があります。誤解を恐れずに言うと、医師の中に鍼灸治療に理解があり、連携の要請があったとしても、果たして鍼灸師はその医師からの連携の期待に応えることができるのでしょうか⁈
中国医師制度の様に6年間の大学教育や、病院でのインターン制度も数年間しっかりと受ける中医師(鍼灸治療、漢方薬の医師)と違い、日本の鍼灸師は、医師と連携して診療に当たれるだけの高い鍼灸治療技術を修得できているのでしょうか?今後、医学部において鍼灸治療の授業が、今よりも充実するにつれて、日本の各鍼灸師が向き合わなければいけない問題だと思います。
『中国医学は、現代医学とは違う角度から人体を診る鍼灸治療は、もう一つの医学なのです』
投稿者:tcm-editor