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胎盤は、妊娠中に赤ちゃんに酸素や栄養を補給する臓器で、子宮の比較的上の方にできます。胎盤組織が下の方にできて内子宮の入り口を一部、または全部を覆っている状態のものを前置胎盤と呼びます。
また、胎盤辺縁が内子宮口を覆っていないものの、内子宮口から2cm以内にある場合は,低置胎盤と呼ばれます。
典型的なケースでは、妊娠20週以降に痛みを伴わない性器出血として現れますが、性器出血がなくても、妊婦健診での超音波検査で診断されることが多いです。
前置胎盤の発生頻度は、0,5%程で分娩1000例当たり約5例です。 前置胎盤が妊娠初期に生じたとしても、通常は子宮が大きくなるにつれ、妊娠28週までに解消しますが、妊娠31週後半でも前置胎盤の場合、その時点から胎盤が上がっていく例は極めて少なく、妊娠32週で前置胎盤と診断された場合には、帝王切開分娩が必要となります。 低置胎盤の場合については、胎盤の状況に応じて自然分娩も可能です。
中国医学には、妊婦の悪阻(つわり)、下腹痛、下腹部の張り、下腹部の下垂感、性器出血、胎位不正(逆子)などの妊娠中の症状に対して、西洋医学が存在しない遙か昔から鍼灸治療や漢方薬で治療してきた長い歴史があります。
現代中国医学では、もちろん西洋医学と併用しての統合治療ですが、前置胎盤の治療に鍼灸治療や漢方薬は、現在の中国の医療現場でも用いられています。
前置胎盤を中国医学では、「胎漏」と呼び、妊婦それぞれの体質や随伴症状に合わせ、治療します。 最も多いタイプは、倦怠感、食欲不振、軟便、下痢、腰痛などを伴う「脾腎両虚」タイプです。健脾作用、補腎作用のある漢方生薬や鍼灸の経穴(ツボ)で治療することで、衝脈(体内の気血を調整し、生殖能力や月経をコントロールする働きがある生殖器を中心に広がる経脈)を堅固にし、「胎漏」から起こる出血を止め、胎児を安定させます。
統合医療として、前置胎盤の中国医学治療を併用することで、妊娠後期までに胎盤の位置を改善することが大切です。
西洋医学とは違う角度から人体を診る鍼灸治療は、もう一つの医学なのです。
投稿者:tcm-editor
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