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2024年09月号『肥満症の中国医学治療』

肥満とは、食べ過ぎなどによるエネルギーの過剰摂取や運動不足が原因で、消費されずに余ってしまったエネルギーが皮下脂肪や内臓脂肪として体内に過剰に蓄積されている状態のことをいいます。

西洋医学の「肥満症」に対する治療には、食事療法(揚げ物や脂肪分の多い食材を減らす)、運動療法(有酸素運動と筋肉トレーニング)、行動療法(体重日記、食行動質問表、食事の取り方)、薬物療法(マジンドールなど肥満症治療薬服用)、外科療法(胃の一部を切除手術)などがありますが、外科療法以外の、薬の服用があるが、吐き気など副作用もあります。
運動療法や行動療法も継続が非常に難しく、リバウンド等の問題もあり、なかなか改善は容易ではありません。

中国医学の肥満に対する、減肥(ダイエット)のための中薬治療の歴史はながく、中国南宋時代の名医「厳用和」によって中薬の研究が始められたという古い記録があります。

現代中医学の医療現場でも、減肥(ダイエット)治療は、大きく以下の6つのタイプに分け、それぞれの体質のタイプや原因に合わせた、漢方薬治療、鍼灸治療、推拿治療、を行うことで、高い治療効果があります。

●中国医学の肥満症の体質分類(タイプ)

【痰湿内盛証】
痰湿邪の外的要因、飲食の不摂生や七情の影響で内傷したために、肥満、身体が重い、疲労感、めまい、口渇あるが飲みたくない、胸がつかえる等の症状がある。
【脾虚湿阻証】
脾の運化作用が失調し、水湿が体内に阻滞したために、肥満、倦怠感と脱力感、食べる量が少ない、むくみ、下痢あるいは便秘等の症状がある。
【胃腸積熱証】
飲食の不摂生の影響で胃腸に湿熱が積滞したために、肥満、顔色が赤い、吹き出物ができる、口渇、口臭、食欲旺盛、胃脘脹満、大便が粘稠または便秘等の症状がある。
【肝鬱気滞証】
肝気が鬱滞し、肝の疏泄機能が失調したために、肥満、胸や脇の痛み、乳房脹痛、頭痛、イライラ、抑うつ、月経不調等の症状がある。
【脾腎陽虚証】
飲食物の運化や、水穀の精微機能が失調したために、肥満、長期の下痢、四肢や腹部や腰足の冷え、食欲不振、疲労感等の症状がある。
【気血両虚証】
飲食の不摂生、過度の労働や、大病などで気血が消耗し不足になったために、肥満、顔色蒼白、倦怠感と脱力感、動悸、息切れ、夢が多い、不眠症等の症状がある。

投稿者:tcm-editor

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