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2024年08月号『間質性膀胱炎の鍼灸治療』

間質性膀胱炎とは、膀胱に原因不明の炎症がおこり、それによって頑固な頻尿、トイレに行ってもすぐに行きたくなる、尿を我慢すると下腹部が痛い、膀胱や尿道に違和感や痛みが起こる慢性的な膀胱炎です。

細菌感染で起こる急性膀胱炎や尿意切迫感を来す過活動膀胱とは症状がよく似ていますが、全く別の病気です。
膀胱の内視鏡ではハンナ病変と呼ばれる特有の粘膜の異常がみられます。特に女性に多い病気で、患者数は日本全体で全人口の10万人あたり4.5人と推定されていますが、実際はもっと多いと予想されます。

間質性膀胱炎は、細菌感染で起こる急性膀胱炎とは異なり、多くの場合、尿には異常がありません。
原因は、膀胱の粘膜を覆っている細胞や免疫系の異常が疑われていますが、はっきりとした原因は、まだ解明されていません。

頻尿が顕著な場合は、過活動膀胱と診断され、治療薬である抗コリン剤が処方されることがありますが、あまり治療効果がなく、根本的治療法はまだありません。
内視鏡を使ってハンナ病変を電気メスで処置する。ほかには、症状を和らげる方法として鎮痛薬や神経の興奮を抑える薬を使うことがあります。膀胱の中に薬を入れる方法もあります。
治療によって症状は改善しますが、完全に良くなることは難しく、再発することも多いのです。

中国医学(鍼灸治療、漢方薬)では、間質性膀胱炎に対して、急性膀胱炎や過活動膀胱と同様の治療を行います。まず、下焦(げしょう)(膀胱や下腹部)清熱(せいねつ)(熱邪の熱を下げる)利湿(りしつ)(湿邪を取り除く)することを主に、さらに、行気(気の流れを促進)活血(血流を改善)することで症状を緩解させます。漢方薬治療では、八正散などを症状に合わせて加減して使用します。鍼灸治療では、関元穴、三陰交穴、気海穴などを選穴し、特に灸を下腹部の関元穴などに行うことで、膀胱の血流が促進され、症状の回復を促すことができます。

中国医学(鍼灸治療、漢方薬)は、現代医学とは、違った角度から人体を診る、WHOに正式に認められた、もう一つの医学なのです。

投稿者:tcm-editor

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