no image

2023年05月号『オスグッド病の鍼灸治療』

オスグッド病とは、身長が伸びることで、太ももの前面にある大腿四頭筋が過緊張を起こし、成長しきっていない膝のお皿の下骨の脛骨粗面を引っ張りすぎることで、成長軟骨を剥離させてしまい、痛み、腫れや運動時の痛みが主な症状の疾患です。

同様に成長期のスポーツ傷害で膝が痛くなるものにジャンパー膝というものがありますが、オスグッド病との大きな違いは痛みの起こる部位にあります。
ジャンパー膝は膝蓋腱に痛みが出るのに対し、オスグッド病は、もう少し膝下部の脛骨粗面に痛みが出ます。特にジャンプなど膝屈伸が多いバレーボール・バスケットやダッシュや、キック動作をする野球・サッカーなどのスポーツ部活動などを行っている10歳~15歳くらいの成長期の男子に起こりやすくなっています。

西洋医学の治療では、痛みや腫れがある場合には、アイシングで冷やします。炎症がある間は、基本的に患部を休める保存療法です。
症状が少し軽減したら大腿四頭筋を伸ばすストレッチが効果的です。痛みが長期化してきた場合には、脛骨粗面の負荷を軽減するために、膝に専用のサポーター(オスグッドバンド)を装着しますが、さらに悪化して手術が必要になる場合もある大変な病の1つです。

中国医学では、オスグッド病による膝の痛みは、「痹証(ひしょう)」に分類され、患部が熱を持っているか、腫れがあるかなどで治療法を選択し、熱症状に対しては清熱作用のある経穴(ツボ)、腫れに対しては、消腫作用、利水作用のある経穴に鍼灸治療を行います。

鍼灸治療では、靱帯や軟骨の損傷は、血流を改善することにより、局所炎症性浮腫の吸収と解消を促進し、痛みを和らげることができます。

また、日常生活では、急性期以外は、膝を温かく保つことに留意し、ホットパック等を用いて温めることも大切です。
※昔、日本では頻繁に小中の部活動などで行われていた「うさぎ跳びトレーニング」が禁止となった背景には、このオスグッド病の発症率が上昇することが影響しています。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る