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2023年03月号『『妊娠中の頭痛』への鍼灸治療』

妊娠中には、普段あまり頭痛がない人でも頭痛が起こることがあります。
原因は、妊娠初期にホルモンバランスが崩れ、プロゲステロン(黄体ホルモン)、エストロゲン(卵胞ホルモン)といった女性ホルモンの分泌量が増えるからです。それらは胎児が育つために必要なホルモンですが、脳の血管を拡張させ、神経を刺激するため頭痛を起こす場合があります。

また、妊娠中は、胎盤に血液を送り、胎児を優先して血液や鉄分を多く使うため、鉄分欠乏性貧血を起こしやすく、貧血によって頭痛が起こる場合もあります。

さらに、日常的に頭痛が起こっていた人の場合、妊娠中は、緊張型頭痛(肩凝り、後頭部から首筋、頭の表面の筋肉などが緊張して血流が悪くなることが原因)や、片頭痛(ストレス、睡眠不足、気象の変化、ホルモンバランスが原因で頭の片方か両側のこめかみや目の奥がズキンズキンと痛む)の頻度や症状が増悪します。

中国の病院では、妊娠中のあらゆる症状は、中国医学(鍼灸、漢方薬)で治療するケースがほとんどです。日本でも、頭痛に対して普段は鎮痛剤を服用される人でも、妊娠中は、さすがに西洋薬を拒まれますし、病院でも処方を控えます。

妊娠中頭痛の治療は、頭部周囲の経穴(ツボ)への直接的な刺鍼で血流を改善し、頸部・肩背部の緊張緩和など、基本的には平常時と同様の緊張性頭痛や片頭痛の鍼灸治療を行いますが、妊娠中は、浮腫症状が起きやすいため、水分代謝をよくする治療を併せて行うことで、さらに治療効果が高まります。
また漢方薬では、脳の拡張した血管を収縮させる作用がある川芎(せんきゅう)という生薬がよく使用されます。

西洋薬の服用に制限がある妊娠中の人にとって、鍼灸治療や漢方薬治療は、身体に優しく、安心安全な治療法です。

中国医学は西洋医学とは別の角度から人体を診るもう1つの医学です。
当院では、産婦人科医と提携して不妊治療なども行っています。

投稿者:tcm-editor

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