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2023年02月号『骨折後遺症の鍼灸治療』

骨折は、完全に骨が折れた状態を想像する人も多いかもしれませんが、ヒビが入った場合や、骨の一部が欠けた場合、陥没した場合も骨折に含まれます。骨自体には痛みを感じる神経はありません。骨折すると痛みがあるのは、骨を覆う骨膜に知覚神経があるからです。

また骨折の種類には、
1)完全骨折(骨が完全にポキッと折れてしまっている状態)
2)不全骨折(完全には折れておらず一部が折れた(ヒビが入った)状態)
3)粉砕骨折(ばらばらに折れるような骨折をした状態)
4)複雑骨折(正しくは骨が折れて皮膚を突き破ってしまったもの、開放骨折と同じ状態)
などがあります。

骨折の治療方法には、「保存的治療(ギプスや添え木による固定)」と「手術的治療(ネジやボルトによる固定)」の2つがありますが、問題は後遺症です。
変形障害、短縮障害、欠損障害などの後遺症は、残念ながら鍼灸治療では改善できないですが、神経症状、機能障害、運動障害などの後遺症は鍼灸治療が得意とするところです。

中国の医療現場では、骨折後、固定期間などが終わる頃、骨折部位の腫れ、痛みや仮骨の瘤(こぶ)を軽減させるため、鍼灸治療を行います。
日本では、中国のように病院で鍼灸治療が受けられず、湿布薬などで対応しているのが現状です。
そのため、数週間から数ヶ月経っても痛みや患部の腫れが引かないと相談に来院されるケースが非常に多いです。

骨折部位に鍼灸治療することで、神経の流れや血流を改善し、損傷した周囲の組織を回復させ、痛みや腫れを引かせます。
また、必要に応じて、漢方生薬の活血薬を用いて、血の流れを増幅させ、血流の妨げとなっている骨折患部に溜まった瘀血を完全に取り除き、患部の血流を根本的に修復させます。

中国医学は西洋医学とは違う角度から人体を診るもう1つの医学です。

投稿者:tcm-editor

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