ホルモンの異常や様々な病因により、月経(生理)時以外に性器から出血することを不正出血といいます。真っ赤な出血(鮮血)や、茶色い出血、おりものに少量の血が混ざっている、さらに下着に付着する程度の点状出血など、様々な不正出血があり、出血期間が長引く場合もあります。
原因の多くは一時的なホルモンバランスによる「機能性出血」ですが、中には婦人科で治療を必要とする膣や子宮、卵巣などに何らかの病気があるために出血する「器質性出血」の場合もあります。
ホルモンバランスの影響による「機能性出血」では、経過を見ることで自然に出血は止まる場合も多いです。しかし、いつまでも出血が続き、出血期間が長い、出血量が多い場合は女性ホルモン薬を内服し、継続的に治療する必要があります。
中国医学では、不正出血のことを、「崩漏(ほうろう)」といいます。「崩」は、急激に大量の出血がおこる状態、「漏」は、ダラダラと少量の出血が続く状態を指します。両者は交互に出現することが多いです。 中国最古の医学書である「黄帝内経(こうていだいけい)」にも、婦人科疾患の記述があり、「崩漏」は、鍼灸治療や漢方薬で治療されていたことが分かります。
中国医学では、体質や原因から大きく6タイプに分け治療します。「気虚」「陽虚」「陰虚」「血熱」「気鬱」「瘀血」です。この中では、「崩漏」を起こす原因としては、「気虚タイプ」*が多く、「気虚」で気の固摂作用が十分に働かなくなっている状態と診ます。固摂作用の1つに、出血を抑える働きがあり、この作用が低下すると出血などが多くなります。鍼灸治療では補気(気を補充する)効果のある、合谷、足三里など経穴(ツボ)を用いて治療し、漢方薬でも、補気作用の強い補中益気湯などで根本的な体質改善治療をします。
*「気虚タイプ」の特徴は、気(エネルギー)が虚弱なため、元気がない、疲れやすい、顔色が青白い、風邪を引きやすい、朝、起きられない、集中力が持続しない、食後に眠くなる、胃腸が弱い、むくみやすい、息切れなどの症状があることです。
投稿者:tcm-editor