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2023年08月号『片側顔面痙攣(けいれん)の鍼灸治療』

「片側顔面痙攣」とは、片側の顔面がピクピクと反復的に痙攣を起こす疾患です。男性に比べて女性に多く、40歳〜70歳代に発症することが多いです。

初期には、片目の周りの痙攣が起こることが多く、進行すると頬や口の周りなどに痙攣が広がります。痙攣の程度が強くなると、顔が引き攣り、ゆがむ、筋肉の麻痺が起こることもあります。
また、痙攣が起こる頻度は、最初は精神的に緊張した時などに時々起こりますが、次第に日常的に起こるようになる場合もあります。

原因は完全には解明されていませんが、頭部で顔の筋肉を動かす神経に血管が接触し、神経を圧迫していることが原因ではないかといわれています。

しかし、MRIでの精密検査で、そこまで神経の圧迫が見られない場合もあることから、精神的緊張・ストレスも原因になると考えられています。
また、動脈硬化や高血圧、糖尿病、高脂血症などから血管に病変が生じ、神経や血液の流れを悪くすることで発症する場合もあります。

病院での治療法は薬物療法、神経ブロックやボトックス注射、高周波凝固術、などがありますが、なかなか改善されず、手術に至る場合もありますが、その後、後遺症が残る場合もあり大変深刻です。

鍼灸治療では、顔面部に直接刺鍼し、痙攣部位の血流を良くすることで筋肉に新しい血液を与えます。
さらに、患側の後頭部から耳の後ろ辺りの経穴(ツボ)にも刺鍼し、顔面神経の腫れや血管の膨らみなどを軽減させ、神経の流れや血流を改善し、神経の異常興奮を鎮静し、痙攣を軽減させます。

漢方薬治療では、乱れた自律神経を整える漢方薬や、血流を妨げる瘀血(おけつ)を除去し血液をサラサラに保ち血流を良くする生薬を用いて、顔面痙攣の誘因となる疲労や緊張、ストレス、睡眠不足などによる身体の不調を緩和させ、再発しにくい根本治療を行います。

漢方・鍼灸治療とは、現代医学とは異なる角度から診る、もう一つの医学なのです。

投稿者:tcm-editor

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