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2022年11月号『日本の鍼灸事情』

鍼灸師の有資格者は、日本では年々、増加しており、2023年度の登録者数は、19万人にも上ります。

しかし、現在、日本にある鍼灸院は、約3万5千、鍼灸接骨院は、約5万(鍼灸師のいない整骨院も多い)であり、全ての院に鍼灸師がいると仮定しても、実際に鍼灸師として働いているのは8.5万人ぐらいと、鍼灸師登録者の半数以下であり、日本の人口に対する鍼灸師数は、中国よりもはるかに少ないのが現状です。
中国では、鍼灸師は中医師として、漢方薬や鍼灸治療に従事する、ほぼ100%公務員の医師です。

中国では、鍼灸治療の需要が高く、多くの中医師(鍼灸師)が働いています。
免許制度も、中国は日本とは異なり、6年制大学卒で中医師の国家試験を受け、医師となり、西洋医学の医師とほぼ同等の地位です。

日本の厚生労働省の認識では、鍼灸治療は、医業類似行為と呼ばれ、鍼灸治療ではなく、鍼灸施術とされており、不当な扱いを受けています。
中国では、西洋医学と中国医学の2つの医療が並立し、同じ医療現場で両者の診療が行われます。

1988 年には法律の改正により、鍼灸師試験の実施と登録事務が都道府県知事から厚生大臣に変更となり、国家試験に位置づけられましたが、鍼灸を取り巻く日本の現状は何一つ変わっていません。

さらに、2018年、WHO(世界保健機関)は鍼灸や漢方薬などを「伝統医療」として認定し、ICD(国際的に統一した基準で定められた疾病分類)の中に中国医学の章が追加されましたが、日本では鍼灸事情は変わることなく同じです。

大阪医科薬科大学医学部麻酔科学教室の、(故)兵頭正義教授は、各種難治性疼痛の治療に、神経ブロック療法などの西洋医学だけではなく鍼灸治療を取り入れ、「鍼灸は医療であり、“医療類似行為”ではない!医療だから効果も著しい。」と発言されています。

投稿者:tcm-editor

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