no image

2022年06月号『帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療②』

帯状疱疹は、水疱瘡(みずぼうそう)を起こす水痘ウイルスによって起こります。子供のころに水疱瘡にかかると再度水疱瘡にかかることはありません。
しかし、水痘ウイルスは、その後も身体の神経の中に潜んでいます。それが身体の免疫力が低下すると活動を開始し、帯状疱疹が出現し、痛み(神経痛)を伴うケースが多いです。
発症部位は、胸部の半分(右か左かどちらか)によく起こるが、下肢や、顔面部に起こることもあります。

近年、帯状疱疹の増加背景には、水痘ワクチンが定期接種になったことがあります。
一般的に、水疱瘡を発症した子供などと接する機会があると、知らないうちに体内の免疫が再度活性化(ブースター効果)されて、高い抗体価を維持することができます。

しかし、日本では2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となり、水疱瘡にかかる子どもが激減しました。これにより、ブースター効果が得られる機会も激減し、体内の水痘ウイルスに対する免疫が知らないうちに低下していってしまったため、帯状疱疹を発症しやすくなっていると考えられています。
帯状疱疹の皮膚症状が治った後、後遺症に神経痛があります。「焼けるような」「締め付けるような」持続性の痛みや、「ズキンズキンとする」疼くような痛み、そして、軽い接触だけでも痛むなどがあり、睡眠や日常生活に支障をきたします。

西洋医学の治療では、鎮痛薬による薬物療法、神経の活動を抑える抗うつ薬、さらに神経ブロック療法、レーザー治療がありますが、痛みが引かない、鎮痛剤服用で胃腸が不調になることもあります。
中国医学では、帯状疱疹のことを「纏腰火丹」「蛇丹」といい、昔から鍼灸治療で治療し高い効果を上げてきました。神経痛患部(皮膚)に直接、刺鍼して患部の血流を改善し、水痘ウイルスによって傷つけられた神経組織を少しずつ回復させ、根本から痛みを改善させるのです。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る