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2022年02月号『椎間関節性腰痛症の鍼灸治療』

背骨(脊柱)は、椎骨と呼ばれる骨が一つ一つ積み重なってできており、椎骨と椎骨の間にある関節のことを椎間関節と呼びます。
膝や肩の関節と同様に、骨と軟骨と周囲の靭帯(関節包)及び、周囲の筋肉で形成されています。椎間関節は、滑膜(関節を包み込む膜のこと)で包まれており、この滑膜には多くの痛みを感知する神経が分布している事がわかっています。この椎間関節に微細な損傷が起こることで炎症が生じ、その結果として発生する腰痛を椎間関節性腰痛(あるいは椎間関節症)といいます。

椎間関節症は急性椎間関節性腰痛と慢性椎間関節性腰痛に分けられます。

○急性椎間関節性腰痛…ギックリ腰のひとつの原因ともなっています。重いものを持ち上げたり、急に体をひねったりしたときに起ります。
この際に軟骨や関節包に強い力がかかって炎症を起こし神経を刺激して痛みを発生するのです。

○慢性椎間関節性腰痛…仕事や運動で負荷が長期間かかり続け、さらに加齢とともに変形もすすみ、関節の適合性が悪くなり常に痛みを感じる状態です。
西洋医学の治療法では、痛みの強い時期には安静、ベルト固定、消炎鎮痛薬の投与が行われます。急性の場合は、比較的早く回復しますが、慢性の場合は、なかなかスッキリと痛みが引かず、腰痛症状がいつまでも続きます。

鍼治療では、腰椎両側の腰回りにある腸腰筋、腰方形筋、脊柱起立筋上の経穴(ツボ)に刺鍼することで、筋緊張をとり、腰椎関節の加重ストレス軽減できます。筋緊張が緩和することで腰部の血流が改善し、腰部全体の代謝も促進され、関節周囲軟部組織の腫れ(浮腫)も消失し、炎症や痛みが治まり。また、痛みが改善しても、椎間関節性腰痛症を再発させないために鍼灸治療をさらに数回継続し、腰の状態を根本的に改善させ、予防しておくことは大変重要です。さらに御自身でも、ストレッチや適度な運動を行ない再発を予防することも大切です。

投稿者:tcm-editor

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