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2020年6月号『ヘバーデン結節の鍼灸治療』

手指関節の腫れ・痛み・しびれ・曲げられない・変形などの症状が第一関節に起こることを「ヘバーデン結節」、第二関節に起こることを「ブシャール結節」といいます。

変形性関節症の一種であり、手指の関節に結節ができる。結節とは骨のコブのことで、手指の関節が腫れて痛むだけでなく、粘液嚢腫(ミューカスシスト)と呼ばれる水ぶくれが現れることもあります。結節症状のため、指の動きが悪くなったり、強く握ることが困難になったりして、日常生活が困難になる場合があります。

原因はまだハッキリとは分かっていませんが、発症が更年期の女性に多く、また利き手以外の手指にも症状が現れることから、女性ホルモンが関与している可能性があると考えられています。

 ヘバーデン結節、ブシャール結節以外にも更年期に起こりやすい手指の疾患として、ばね指・ドケルバン病などの腱鞘炎、手根管症候群、母指CM関節症があげられます。(※自己免疫疾患のひとつ「関節リウマチ」と症状が似ているので専門医の診断が大切です。)

西洋医学の治療では、急性期では少量の関節内ステロイド注射なども行いますが、基本的には局所の安静・患部のテーピング固定などの保存療法が主です。なかなか改善しない場合も多く、変形がひどい場合は、手術が必要になることもあり大変です。

中国医学では、「痹証:ひしょう」として、関節の炎症を抑える治療を鍼治療や漢方薬で行います。鍼治療では、直接、手指関節周囲に刺鍼し、血流を改善させることで痛みや炎症を軽減させます。手指関節の炎症による痛みがある程度改善してから、根本的治療として女性ホルモンと関係深い「腎:じん」の働きを改善させる治療で再発防止を目指します。

中国ではほとんどの場合、その有効性からヘバーデン結節に対する治療は、鍼治療や漢方薬治療が主です。鍼灸治療は、現代医学とは違う、もう一つの医学として、今日その有効性が認知されています。

※痹証とは、筋・筋肉・骨関節などの疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証。

投稿者:tcm-editor

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