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2019年6月号『むずむず脚症候群(RLS)』

 むずむず脚症候群は、レストレスレッグス症候群(RLS)とも呼ばれ、その名前のとおり脚がむずむずする知覚運動性、神経性の睡眠障害です。ふくらはぎの深部などを虫が這うような、あるいはくすぐられているような、ほてったような感覚がし、脚を動かさずにはいられないことが主な症状です。どの年齢でも発症しますが、特に多く見られるのは60歳から70歳の高齢者や女性です。女性は男性の1.5倍から2倍多くなっています。

     ―4つの特徴―
  • 1、脚の不快感、寝ているときの異常感覚、脚を動かしたいという強い欲求が起きる。
  • 2、症状が夕方から夜にかけて強まること。
  • 3、脚を動かすことで不快感が軽減する、あるいは消える。
  • 4、動かないときに症状が強まること。

 むずむず脚症候群の原因の一つとされているのが、ドーパミンが不足したり、うまく働かなくなったりすることで神経細胞に異常が生じることだと考えられています。 このケースでは、患者さんのおよそ半分が遺伝に関係するといわれています。また、尿毒症、神経障害、鉄および葉酸欠乏による貧血などから、二次性のむずむず脚症候群が引き起こることがあります。

 治療では、薬物療法が中心で、パーキンソン病の治療に使うドーパミン作動薬も用いられます。また、鉄分不足が原因と考えられる場合は、鉄剤を服薬しますが、なかなか改善されない場合も多くあります。

 中国医学では、むずむず脚症候群は、血虚から血虚生風を引き起こしたと考えます。

血虚とは、栄養素である「血」が不足している状態。「血」の循環が悪くなることで、全身に栄養が行き渡らないため、貧血の傾向(女性は月経量が少なく色が薄いか無月経)や、目眩(めまい)、耳鳴り、顔や爪につやがない、多夢、視界がぼんやりか夜盲、手足の振顫、肢体の痺れ(しびれ)や痙攣(けいれん)などの症状も現れる場合があります。

 血虚体質から生じた風邪(ふうじゃ)が脚の皮膚表面に症状を引き起こすため、血虚を補充する漢方薬などで治療することで効果が認められています。西洋医学で処方される貧血用の鉄剤と同様と考えられがちですが、漢方薬の血虚補充薬は、血液だけでなく、内分泌やホルモン等も補充し整える作用があり、ドーパミン不足等にも治効作用があると考えられてれています。むずむず脚症候群の治療も、鍼灸治療、漢方薬などの中国医学と西洋医学とを合わせて行う統合医療が、相乗効果で、より良い効果をもたらしています。

投稿者:tcm-editor

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