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2018年10月号 「嗅覚障害の鍼灸治療」

嗅覚障害の原因は、大きく2つに分けられる。1番目は鼻が詰まっているため嗅神経まで“におい”が届かない、風邪、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎等が原因の呼吸性嗅覚障害。2番目は、ウイルスや外傷、加齢、薬剤等による嗅神経障害が原因の末梢神経性嗅覚障害。その他に、この原因1と2が混合しているケースや、血液内の亜鉛不足が原因の場合もある。また、頭部外傷や脳外科手術、脳腫瘍、アルツハイマー病、パーキンソン病などで嗅神経に異常が起きる中枢性嗅覚障害もある。

耳鼻科での治療では、ステロイド点鼻薬、ビタミン剤や血流を改善する薬を服用する治療を行うが、それぞれの鼻疾患に合わせた治療も必要で、抗アレルギー薬の服用、副鼻腔炎の治療薬の服用、粘膜の腫れに対する治療も同時に行われる。

しかし、対症療法だけではなかなか回復しないケースもあり、ステロイドの副作用が
出る心配もある。

鍼灸治療では、それぞれの鼻疾患に合わせた治療も行うが、嗅神経障害が原因の場合はまず局部治療として、鼻の近くの経穴(ツボ)に刺針し、鼻腔周囲の血管の血流を良くし、鼻腔の天蓋に数本ある嗅覚末梢神経の栄養状態を改善させ嗅覚機能を回復させる。

さらに、鼻に対する治療だけではなく、根本的な嗅覚障害に至った原因を深く探り、反復的に再発しない根本的な治療も行う。全身の経穴(ツボ)を使い、全体の体質改善治療も同時に行うことで、自然治癒力(自己回復能力)を高め、根治を目指す。

西洋医学の治療と東洋医学の鍼灸治療を併用することで、相乗効果も認められている。

※病院で処方された薬を続けながら、鍼灸治療を併用することが可能です。

※近年、WHOは、従来の西洋医学と古くから安全性と有効性が認められている東洋医学を合わせて行う『統合医療』の高い有効性を認めています。


投稿者:tcm-editor

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