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2018年5月号 「眼瞼痙攣の鍼灸治療」

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)とは、両側のまぶたに同じような痙攣が起こる病気です。眼瞼痙攣の初期は、まぶしさや眼の違和感から始まります。重症になると眼瞼痙攣はまぶたが開かなくなることもあり、日常生活が困難になることもあります。

多くは原因不明ですが、安定剤、睡眠導入薬、抗精神病薬の長期服用や化学物質の副作用の場合もあります。

現代医学では、根本的に治す方法はなく、最も多く用いられる対症療法(病気自体を治すことではなく、症状を一時的に抑える治療)は、眼周囲の皮膚にボツリヌス毒素を少量注射して、眼を閉じる力を弱める方法です。ほかには、抗パーキンソン薬・抗鬱薬・抗コリン薬等の薬物療法、クラッチ眼鏡、眼瞼の手術がありますが、いずれ
も根本的な改善に至らないことが多いです。

中国医学(鍼灸治療、漢方薬治療)では、局部的な治療としては、直接、鍼灸で眼の周りの筋肉の緊張と、異常興奮している神経を鎮静させる治療をします。また、全身の自律神経系(交感神経、副交感神経)のバランスを調整し、副交感神経の機能を高め、筋肉の緊張を和らげ、血行を改善することで痙攣症状を改善していきます。

さらに、根本的な原因を中国医学的診断から細かく分析しタイプに合った全身治療を進めていきます。

〈中国医学による眼瞼痙攣の分類〉

  1. 心脾両虚:気血が消耗し、眼瞼周囲の筋脈が栄養を失い動きが悪くなる。
  2. 肝脾血虚:血虚から虚風が内動し、眼瞼が、こわばる。
  3. 肝腎陰虚:陰虚から起る虚熱で内風が生じ、眼瞼部の筋が痙攣する。
  4. 肝熱生風:肝経に溜った熱が火化し、風が生じ、眼瞼部の筋が引きつる。
  5. 外風侵襲:風によって眼瞼部の筋が冷え、筋肉が急に収縮する。

眼瞼痙攣は、抑うつ感があると症状が悪化するので、心の安定が必要な病気でもあり、鍼灸治療で同時にうつ症状、不眠症や慢性疲労感なども軽減させることが大切です。

投稿者:tcm-editor

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