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2016年9月号 「カッピング(吸玉)療法」

カッピング(吸玉)療法

リオ五輪で金メダル総獲得数を23個に増やした米国競泳チームのエースのマイケル・フェルプス選手の背中に、濃い赤紫色の円い跡がたくさん残っていたのをご覧になられましたか?

あれは中国医学療法の1つのカッピング(吸玉)療法の痕(あと)です。

米メディア報道によると、フェルプス選手は、日常的に疲労回復のため、カッピング(吸玉)療法を取り入れていたそうです。現在、欧米のアスリートの多くは、薬物の副作用を心配し、怪我の治療や疲労緩和のための薬物使用を避け、カッピング(吸玉)療法などの中国医学療法(鍼灸・推拿マッサージ)を採り入れる選手も少なくないそうです。五輪水泳女子メダリストのナタリー・コーグリンや、体操男子のアレクサンダー・ナドア、さらにテニスの世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズもカッピング療法を取り入れています。

カッピング(吸玉)療法とは、古くから中国や東南アジアなど、広い地域で取り入れられていた治療法の1つです。火でカップの中を真空に近い状態にして身体のツボ(経穴)に吸玉を吸着させます。

カッピング(吸玉)を強くつけると、体内の老廃物がたまった瘀血(おけつ)を皮膚の表面に引き上げ、毛細血管の末端から皮下ににじみ出ます。そうすることで患部に新しい血液が入るスペースが生まれ、新陳代謝を促します。カッピング(吸玉)療法の跡の色が濃ければ濃いほど、瘀血(古い、悪い血)が滞っているとされますが、治療回数を重ねると、だんだんと薄く、痕がつきにくくなっていきます。治療の際についてしまった痕は、2日~10日間程度で徐々に薄くなって消えていきます。

症状が軽度の場合には、カッピングを弱くつけるなどの加減をします。弱めのカッピングによって皮膚を吸い上げ、毛細血管を一時的に収縮させます。この場合は丸い痕も付かない程度です。

さらに特殊な治療として、皮膚に針で小さく穴を開け、その上にカッピングをし、少し瀉血(しゃけつ)させて、瘀血を取り除くというカッピング(吸玉)療法もあります。

投稿者:tcm-editor

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