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2015年5月号 当院における「中国の医学的マッサージ」

日本における医学的マッサージには、国家資格による「あんま(按摩)・マッサージ・指圧」がありますが、中国の医学的マッサージは、「推拿」と呼ばれています。

●当院でおこなっている推拿治療とは
中国で行われている医学的マッサージによる治療方法です。「推」は「押す」、「拿」は「つかむ」を意味します。鍼や灸などの道具を用いずに、手技により経穴(ツボ)を「押す」「つかむ」などにより患部に刺激を与え、血流の改善をさせることにより、治療することです。鍼灸治療と並行することで、更なる治療効果をあげることができます。とは言え、特に「鍼が怖い」「鍼は痛い」などの不安の強い方は、「推拿治療」から始められたらいかがでしょうか。

●その治療効果とは

  • 新陳代謝を促進(日常の生活で蓄積する老廃物を体外へ排出する)
  • 冷え・むくみ・筋肉の凝り等の改善(症状の除去及び、予防)
  • 血液循環を改善(血中の疲労物質を除去、免疫力を高める白血球の量を増やす)
  • 抗ストレスホルモンの分泌を促進(副交感神経を鎮め、心身のバランスを整える)
上記の治療を継続的に行うことで、自身が本来持っている自然治癒力、抵抗力を引き出し、「健康寿命」を長く保つことを目指します。
手技としては、日本におけるあんま(按摩)とほぼ同様の手の使い方をします。
あんま(按摩)とは、古代の中国で誕生し、日本に渡来したものです。

『日本におけるマッサージ・指圧とは』
★ マッサージ
ヨーロッパ(フランス)で生まれ、明治以降に日本に持ち込まれたものです。皮膚に直接触れる治療方法のため、刺激量を少なくするためにオイルやタルク(粉)を使用します。身体の末端から中心に向かう求心性の手技で「揉み擦る」ものです。
効果は主にリンパ等の体表部の血流循環の改善ですが、付随している筋肉を緩める効果もあります。

★ 指圧
「指圧の心は母心」で知られる、古法按摩、導引、柔道の活法を合わせた日本独特の治療方法です。基本的には指による1点への指圧刺激を薄い布の上から行います。経絡理論に基づく経穴(ツボ)の反射作用で身体の各部位や内臓機能の調整を行います。

 当院のマッサージ治療は、中医学理論をベースに症状の弁証(体質・タイプを診立てる)を行い、それぞれの症状や体質・タイプに応じて推拿手技で治療します(時には必要に応じてマッサージや指圧の手技を併用し、刺激の強弱など使い分け、治療にあたります)。
「マッサージ」という言葉を聞くと、運動器系疾患(肩こり・腰痛など)のみに効果があると思われがちですが、全身の状態をしっかりと把握するため、症状を詳しく聞き、診て、触ってから全身治療を行うため、運動器系疾患だけでなく、内臓や内分泌などの内面の調節作用もあり、消化器系疾患や精神疾患など多岐にわたって高い効果がみられるのです。
中医学は、現代医学とは違う角度から診る、もう一つの医学なのです。慢性的な病状で、お困りのときは、ご相談ください。


投稿者:tcm-editor

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