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2015年1月号 潰瘍性大腸炎の鍼灸治療

鍼灸治療

潰瘍性大腸炎は、近年、急速に増加傾向にある病気です。厚生省の統計では、10年前と比べてみても約3倍に増えています。安倍総理大臣も以前、潰瘍性大腸炎で首相を辞任した過去があります。

 潰瘍性大腸炎は大腸に慢性の炎症がおきて潰瘍やびらん(ただれ)ができる病気で、下痢、血便、粘血便、腹痛などの症状がみられます。ひどくなると一日に10回以上も粘血便や血便がでるようになります。この症状は、良くなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返します。患者の年令層は広く、子供でも見られます。原因は、まだ不明ですが免疫機能の病理的要因や心理的な要因も関与し、飲食、疲労、感染、精神、神経などが原因で誘発したり増悪したりする非常に治りにくい難病です。

西洋医学での治療はサラゾピリンとステロイドホルモンなどが薬物療法の主体ですが、治療効果は十分とは言えない状況です。

 中国医学では、潰瘍性大腸炎は“久泄”、“久痢”、“休憩痢”等と呼ばれ、鍼灸治療や漢方薬治療は大変有効です。

鍼灸治療では、中カン(月完)、天枢、足三里、関元、大腸兪などのツボ(経穴)を刺鍼することで、腸の機能を調節して改善させ、下痢や血便を止めるだけではなく、体の免疫機能や抵抗力を高める効果が得られます。特に灸による温熱療法は胃腸を直接温め、胃腸機能を向上させる作用があります。さらに統合医療として中国医学と西洋医学を併用することでステロイド剤の副作用を軽減し、寛解期間を延長させるなどの高い治療効果が認められています。

投稿者:tcm-editor

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