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2014年7月号 副鼻腔炎と中国医学

副鼻腔炎

鼻の構造は、息を吸ったり吐いたりする鼻腔と、鼻腔に隣接する副鼻腔からなっている。鼻腔と副鼻腔は自然口という小さな穴でつながっている。鼻の周囲の骨には4つの空洞(上顎洞、篩骨(しこつ)洞、前頭洞、蝶形骨洞)があり、これらは副鼻腔と呼ばれる。これらの副鼻腔に、細菌やウイルス感染などによって起こる急性の炎症を急性副鼻腔炎と呼び、かぜに引き続いて細菌感染が副鼻腔に起こり発症する。細菌が副鼻腔で繁殖し、急性の炎症を起こし、結果として副鼻腔内に膿みがたまる。

急性の場合は、鼻の中にたまった鼻汁を吸引して取り除き、鼻腔と副鼻腔の通りをよくし、抗菌薬と痛みを和らげるために消炎鎮痛薬などの吸入、薬の内服で改善するが、慢性化すると、繰り返し再発したり、急性の副鼻腔炎が治らずに3ヵ月以上も症状が続いて、「蓄膿症」になったりする。

現代中国医学では、副鼻腔炎を鼻淵と呼んでおり、中国古典の『内経』には「脳漏」「脳滲」という病名での記載がある。

中国医学での副鼻腔炎治療は、鼻炎の発生原因として、免疫力低下などを原因と診て、治療法を分析し、大きく4つの原因タイプに分け、治療を行う。

鼻淵の中国医学分類

◎肺経鬱熱
鼻や咽が弱い肺気虚弱の人に多く、風邪をこじらせて邪熱がこもってしまい、炎症が慢性に経過してしまった状態。
◎肝胆火盛
ストレスなどによる情緒の不安定な状態が続くと、肺の潤いを減少させて炎症を起こす、本来サラサラの分泌液が煮詰まり、蓄膿症などに多い粘りのある黄色い鼻水が出る。
◎肺気虚弱
カゼの繰り返しやその他の慢性疾患により肺気を損傷し、肺気が不足していると、肺によって吸収された酸素を多く含んだ新鮮な動脈血が、顔面部へ行けない、さらに汚れた水液と血液が代謝されないので、鼻粘膜の抵抗力が低下し炎症が起る。
◎脾虚湿盛
普段から甘いものや油っこいものを偏食していると体内に湿熱がこもりやすく、この湿熱は脾胃に影響しやすいという特徴がある。このために脾の運化機能が悪くなり、湿熱が陽明経脈にそって鼻周囲部分に影響すると起こる。


投稿者:tcm-editor

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