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鍼灸治療での美容に対する関心は、年々高まっていますが、顔面にたくさん鍼を刺すのが「美顔鍼」と安易に解釈される傾向が強いようです。
中国医学に基づいた鍼灸による美容は、健康に裏打ちされた美、と考えます。一見部分的に見える症状でも、全身的な(精神面も含む)バランスの乱れがあれば、体質別・部位別に症状が現れることもあります。また、顔に出る症状の場合、便秘症で顔に吹き出物が出やすい、月経・ホルモンの乱れで肌への症状が出る、水分代謝がうまく行かず乾燥しがちな肌荒れになる、顔色が悪い、目の下にクマができやすい、顔や目がむくむ、など、これらは「顔」にフォーカスされた症状です。中国医学では、まず現れた症状を診て、原因は“体質、全身のバランスの乱れにある”と考えれば、顔だけでなく、体全体を総合的に治療するのが中国医学の鍼治療です。
上記の症状を改善するには、まず弁証(べんしょう)(個々各人の体質をみきわめる)することによって、効果のあるツボを選び出します。便秘一つをとっても、起こる原因が違えば、治療に使うツボも変わります。冷えて胃腸が動きにくい便秘タイプなのか、熱がこもって便が乾燥するタイプなのか、といった具合です。冷えのタイプは温め、乾燥タイプは熱を取って水の巡りの改善が必要です。
当院での「中国医学による美顔鍼」では、タイプ別に選んだ手足のツボで全身を整え、顔面局所にも鍼をし、皮膚血流の改善によりシワ・シミ・クマなどの改善を目指します。また、顔に刺した鍼への低周波治療、症状に合わせて耳ツボシールや、カッサでのマッサージ治療も行うこともあります。
世界最古の医学書とされる『黄帝内(こうていだい)経(けい)』は、黄帝と6人の医者の対話、という形で中国の前漢時代頃(紀元前400年頃~)に編纂されたものです。そこには今で言う“伝統医学”の基礎である陰陽論や、ツボ、経絡などについて詳しく書かれています。本の最初の章から繰り返し書かれているテーマは「いかに若々しく、美しい姿のまま長生きするか?!」です。古来より人々は、はつらつと若々しく「健康長寿」であることを求めてきました。中国医学では、それに応えようと「美しい姿と精神で生きる」ことを目指して研究を重ね、鍼治療が行われてきたのです。
投稿者:tcm-editor
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