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2012年8月号 慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患喫煙が主な原因で肺の組織が破壊され、呼吸困難になる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の患者に、鍼治療を行うと血液中の酸素が増えて、息苦しさの症状が和らぐ」ことを、明治国際医療大(京都府南丹市)の鈴木雅雄准教授らが明らかにしたと米医学誌電子版は伝えている。

COPDの患者は、無理な呼吸で首や肩の筋肉が疲労し、酸素の消費量が増える。鈴木准教授らは、鍼治療で筋肉を和らげると酸素の消費量が減り、全身の酸欠状態が改善できると考え、京都大や同志社大などと共同で、平均年齢72歳の患者62人の協力を得て、鍼治療を試み、調査した。

このうち、30人の患者には、首や背中、足など計20か所の経穴(ツボ)に鍼を打つ治療を週1回、12週間続けた。その結果、治療前に6分間で平均373メートルだった歩行距離が同436メートルに延び、歩行中の血液中の酸素濃度は平均86%から同89.5%に増えた。歩行後の息苦しさを10段階で評価してもらうと、治療前の平均5.5ポイントから1.9ポイントに下がった。

一方、残りの32人には、先端を平らに加工したはりで見せかけの治療を行うと、身体的にも心理的にもほとんど変化がなかった。

COPDの患者は国内で530万人以上にのぼり、原因の9割が喫煙とされる。悪化すると歩行や食事など、日常の動作でも息苦しさを感じる。鈴木准教授は「苦痛を軽減し、生活の質を上げる手段に鍼治療が活用できる」と話す。(2012/7/8 読売新聞)

「慢性閉塞性肺疾患」(COPD) は、喫煙が主な原因として気道が狭くなり40歳以上で発症する。初めは階段を上がるなどの運動時の息切れや慢性の咳(せき)、痰(たん)が続き、さらに進行すると入浴や排泄、食事などの軽作業でも息切れが起きる。寝たきりになることもある。

慢性閉塞性肺疾患の息切れ症状を和らげるのに、鍼治療が有効であると、科学的に実証されたのは、世界で初めてのことです。

現代医学に中国伝統医学(東洋医学)を融合させる統合治療は、慢性閉塞性肺疾患のみならず、多くの慢性症状を軽減させることができるのです。

投稿者:tcm-editor

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