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中国最古の医学書『黄帝内経素問』には「不治己病、治未病」という言葉があります。病気にかかってから治療を始めるのではなく、まだかからないうちに、あるいは症状の軽いうちに治療を開始するべきであるという意味です。
現代の予防医学の考え方は、すでに2000年以上も前の中国医学で、当然のように行われ、病気の治療と同様に予防することにも重きを置かれてきました。
近年、生活習慣病の予防について、マスコミ、医療団体、医薬品メーカー、専門家による講演や著書によって、「未病」という言葉は、日本中に広く知られるようになりました。
しかし、「未病」の持つ意味は、本来2つあります。
1つ目は、まだ病気にかかっていない状態のこと。
病気を予防するために栄養バランスのとれた食事を取り、規則正しい生活をし、スポーツなどで身体を鍛えたりすることで免疫力を増強し、なるべく病気にならないように努力することです。
2つ目は、すでに病気であったり、軽度ではあるがすでに症状が現れていたり、また1つの臓器に起こっている症状が他臓器へ広がる恐れがあったりすることを指します。
例えば、血中脂質が異常に多く、手足のしびれ、目眩や頭痛などがあれば、脳卒中の未病段階と考えます。また、高度の肥満なら、糖尿病、痛風や動脈硬化などの病気の未病段階に入っていると考えます。また、糖尿病にかかっている場合、すでに網膜症や腎疾患などの合併症の未病段階になっていると考えられます。最後に脳ドックなどで小さな脳梗塞が多数あれば、痴呆症の未病段階と考えられます。
このような状態を未病の段階で病気の進展をくい止めるために、「未病」に対する治療が非常に重要なのです。さらに、中国の古典医学書『難経』には、こういう言葉もあります「上工治未病、中工治己病」。上工(名医)は未病を治し、中工(普通の医者)は己病(発症した病気)を治す。本当の名医と呼ばれる者は、既におきてしまった病気を治すことはもちろん、未病(病気になる一歩手前の段階)をも防ぎ、治してしまうという意味です。
1つ目の未病の概念は、各個人の努力により予防できますが、2つ目の未病の概念では、医師の技術もさることながら、やはり現代医学の対症療法ではなく、根本原因から見きわめ、体質を改善し、治療のできる中国医学(鍼灸治療・漢方薬治療・推拿治療)の、未病に対する治療は、実に、すばらしいものです。
投稿者:tcm-editor
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