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2009年11月号 周期療法・鍼灸治療による不妊治療

前立腺炎 西洋医学と中国医学の良い部分を合わせた「統合医療」による不妊治療は、欧米では既に多くの医療機関で取り入れられている。

中国で始められた、月経周期に合わせて漢方薬を使い分け、妊娠確率を高める周期療法は、高い治療効果が認められている。周期療法は生理周期(生理期、低温期、排卵期、高温期)に合わせて異なる漢方薬を処方するが、各時期の基本的な治療方針は以下のようになる。

生理期:
活血薬と理気薬を併用して、子宮内の血液をきれいに排出させる。
低温期:
補陰血薬に少量の補陽薬を併用して、子宮内膜を増殖し成熟卵胞を育てる。
排卵期:
補精薬と活血薬を併用して、排卵をスムーズにする。
高温期:
補陽薬に少量の補陰血薬を併用して、受精卵を子宮内に着床させ妊娠を継続できるようにする。

さらに、鍼灸治療の併用も不妊治療の現場で積極的に行われている。

ドイツと中国の研究チームがまとめた米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、人工、体外受精の前後に、女性の身体をリラックスさせる鍼治療と子宮内の血流を改善する鍼治療を行うと、妊娠率が大幅に向上するという。同チームは、体外受精をうける女性160人を2つのグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後に鍼治療を実施した。もう一方のグループには、鍼治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、鍼治療を受けたグループの妊娠率が42.5%に上り、通常治療の26.3%を大幅に上回った。

また、日本の新聞では、体外受精を5回以上行っても妊娠できなかった不妊症の女性114人に鍼灸治療を併用したところ、約40%にあたる49人が妊娠に至ったと、明治鍼灸大学の研究グループが、日本生殖医学界で報告したと紹介されている。

2003年11月、国際学会(北京)で、私は臨床研究の立場から不妊症、月経不順、さらに多嚢胞卵巣症候群という難治性の婦人科疾患を患った女性を、鍼灸、漢方薬のみによる治療法で無事出産、という事例を発表しました。

投稿者:tcm-editor

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