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2008年10月号 腰椎椎間板ヘルニア

背骨には骨と骨の間にクッションの役割をはたす椎間板と呼ばれる軟骨がある。この椎間板は、外側部分は比較的に硬いゴム状で、中心部分(髄核)は柔らかいゼリー状になっている。腰椎椎間板ヘルニアは、重いものを抱え上げたときに、突如、腰に痛みが走る。この症状を「ぎっくり腰」とよんでいる。椎間板の外側に亀裂が生じ、そこからゼリー状の髄核が飛び出した状態のことで、さらに飛び出した椎間板が神経などを圧迫する事により、腰や足に痛みや痺れなどの症状を引き起こす。

椎間板ヘルニア現代医学の治療では、保存療法六〇%、手術療法四〇%が行われている。保存療法では、急性期には安静にし、腰への負担を軽減させるためのコルセットを着用。消炎鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩薬を服用して減痛を図る。さらに激しい痛みには、硬膜外ブロック注射や神経根ブロック注射、ステロイド注射等を行う。急性期を過ぎた痛みには牽引療法などを行う。しかし、問題は、手術を受けても、保存療法を長期的に受けても、痛みや諸症状が緩和・治癒されにくいケースが多く、現在では、整形外科医も鍼灸治療を勧めることが多く、鍼灸治療を併用する患者が非常に多くなっている。

中国医学の腰椎椎間板ヘルニアに対する治療は、漢方薬よりも鍼灸治療を主に行う。まず腰部の血行などが滞る原因となる堅くなった腰部周囲に鍼治療をし、筋肉を弛緩させ、血液の循環や神経、リンパの流れを改善する。さらに中国針麻酔の技術を応用して腰椎ヘルニアが原因で起こる坐骨神経痛や痺れのある部位の経穴(ツボ)に鍼を刺し、微細な電流を流すことで症状を軽減する。

私は過日、甥を抱き上げて「ぎっくり腰」となった。痛みのために身体を伸ばして寝ることも出来ず、整形外科でレントゲンを撮った。腰部の椎間板ヘルニアではなく、筋筋膜型の急性腰痛であったが、鍼灸治療を受け快癒した。自身が患者となって腰痛に対する鍼灸治療の有効性を実感した。

投稿者:tcm-editor

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