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中国留学から帰国した私が一番感じたのは日本の鍼灸と中国鍼灸の相違です。中国では病院で、急性期や重症の患者まで鍼灸で治療しています。日本では病院に鍼灸科は殆どありませんし、医師も鍼灸についてよく知らないのが現実。
中国医学では、診断と治療システムが一体化しており、病名がどうであれ、病態を中国医学的に把握できれば、様々な角度から治療の可能性が見いだせます。中国では病院の検査で原因不明、病名不明、といった現代医学では治療の方法すらない病気や、難治性疾患、難病、各種慢性疾患など、幅広く鍼灸治療が行われているのです。
私は、患者さんに、中国鍼ですか??中国の鍼は太くて痛いのでは??などと聞かれることがあります。鍼と刺激量の選択は病状の程度などによるので、太さは本質的なものではありません。病状や人に応じて治療するのが中国医学です。細い日本鍼が合う場合もあれば、中国鍼が必要な場合もあります。
当院ではオーダーメイドで作ってもらっている細い中国鍼も治療に使っています。漢方薬が、それぞれの生薬を患者さんの症状に合わせて加減し、調合するのと全く同じで鍼灸治療も患者に合わせて治療するのです。また、中医鍼灸では「得気」という、鍼を刺したときの生体反応を重視して、それにより鍼をどう操作し、調節するかが決められるからです。
中医学、つまり鍼灸治療は、西洋医学とは違う角度から診るもう一つの医学です。何が原因で、どこの何がどうなっているかについて、情報収集をし、これらの情報を総合分析し、診断し、その上で治療方法を決定し、鍼治療を行います。この一連の過程を「弁証論治」と呼びます。「弁証論治」することが中国鍼灸なのです。
投稿者:tcm-editor
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