トミー:SO院長、がんの患者さんには、どのような治療がありますか?
SO院長:いろいろな “がん”がありますが、中国医学では、大きく3つの角度から治療します。
①がん細胞の抑制を目標に、鍼灸や漢方薬でがん細胞を攻撃する「去邪」という泻法の治療。
②抗がん剤や放射線治療による副作用(痛み・吐き気・眩暈など)に対する治療。
③西洋医学のがん治療で、ある程度がん自体が消失、あるいは縮小された状態の患者さんに対して体力や免疫力をアップする「扶正」という補法の治療。
トミー:この3つからいえば、どの治療が用いられることが多いのですか?
SO院長:がんを攻撃する治療は、もう手術もできない、抗がん剤も使えないようなケースぐらいですが、副作用のための治療や、体力・免疫力を上げる再発予防治療は、非常によく行われています。
トミー:そうなんですね、そのような治療は、残念ながら日本の病院では行われてないですね😭
SO院長:本当に残念ですが、鍼灸治療や漢方薬で軽減できる副作用や、再発予防の免疫力アップ治療などは、患者さんご自身で鍼灸院や漢方薬局を探されているのが現状です。
トミー:鍼灸治療や漢方薬治療が病院で受けられると、患者さんも助かるんですけど・・・🤔
SO院長:日本の医療費は、年間45兆円強、30年前の3倍となり、保険制度が崩壊寸前です。これ以上、新たに統合医療のために医療費を上乗せ出来ないのでしょう・・・😭
トミー:45兆!厳しいですね・・![]()
SO院長:僕は、一時的には医療費が高騰したとしても、長い目で見ると統合医療として鍼灸治療、漢方薬を保険医療に用いることで、将来的には全体の医療費は削減できるとも思ってはいるのですが・・・。
「がんに対する中国医学と西洋医学の統合治療」
歴史的には、がんや腫瘍の治療に1000年以上前から、漢方薬が使われています。
2000年以上前に書かれた中国最古の医学書『黄帝内経』にも記載があります。
また、西暦200年頃(後漢末期)に、張仲景によって編纂(へんさん)された『傷寒論』の中にも様々な腫瘍についての説明がされています。
西洋医学が生まれる以前の遙か昔から「がん」を患う人は既に存在しており、当時の医療の中心である中国医学で治療してきました。
そのことから、現代の西洋医学によるがん治療の手術、抗ガン剤や化学療法を補完する役割は、中国医学が十分に担えることは歴史的に証明されています。
中国で中西結合医療(中国医学と西洋医学の統合)が、重視されるようになったのは1950年頃からです。
それ以来、中国では、中西結合医療が、医療の基本となって来ました。
治療の統合のみならず、医師制度でも統合されており、
例えば、中国医学の医師は西洋薬の処方権もあり、西洋医学の医師と全く同じ医師です。
また、厳しい臨床のインターン研修を受ければ
中医師が、西洋医学の医師に登録を変更することさえも可能です。
中国以外でも、例えば、香港では、中国返還直前の1999年に『中医薬条例(Chinese medicine ordinance)』が発布され、中国医学が初めて公式に医療の枠組みに加えられました。
それから四半世紀の間に統合医療は飛躍的に進み、来年の2025年には、400床の入院設備を持つ初の本格的な中国医学と西洋医学を融合させた統合医療を掲げる、公立の専門病院の開業が予定されています。
中国医学が得意とする慢性疾患や、がんなどの複雑性の高い疾患の治療の一部を中国医学の医師が担当する態勢が整えば、確実に公立病院の医療負荷は減少し、さらには国の医療費の負担軽減にもつながると期待されています。


