トミー:最近、母親の膝関節炎がひどくなって、膝が重く痛むようです。何か中国医学で改善できる方法ありませんか?
SO院長:実際に診てみないと、ハッキリは分かりませんが、恐らく、この梅雨期の影響じゃないでしょうか。
トミー:そうですか…これと言って、無理もせず、特に膝に負担をかけていないと言ってました。
SO院長:お母さん自身が、無理をして悪化してしまったわけでなく、梅雨期の低気圧と停滞と湿度が原因で、膝関節の浮腫(むくみ)が悪化したのではないでしょうか?
トミー:それでは、「痛み」によく効く、鍼治療を受ければ良いのでしょうか?
SO院長:そうですね、鍼治療と、さらに浮腫を取るために、除湿作用、利水作用のある漢方薬も併用した方が良いと思います。
トミー:ありがとうございます。浮腫が悪化の原因だったのですね。
SO院長:実際に診ていないので、この季節を考慮した予想ですが・・・。
トミー:そんな、気圧や外気の湿度などが、体調や疾患に影響するんですね。
SO院長:はい。中国医学では、人間も自然の一部と考えているので、診断時に気候状況は、常に考慮します。
トミー:面白いですね、中国医学。奥が深く、理にかなってますね。
SO院長:ありがとうございます、もう少し痛みについて説明しますね。
痛みに対する鍼灸治療
中国医学でいう「痺証」を
西洋医学の病名でいうと、
リウマチ、慢性関節炎、坐骨神経痛、頚椎症、
五十肩、痛風、筋肉痛、神経痛などがあります。
簡単に言うと「痛い」という症状のある運動器系疾患のことです。
しかし、上記の様々な疾患は、残念ながらどれ1つとして病院へ行けば、スッキリ治るという症状ではありません。
西洋医学では、この「痛み」症状に対して、
「鎮痛剤で痛みを抑える」対症治療が
ほとんどで、なかなか手術療法以外では、根本的な治療方法がありません。
さらに、非特異性腰痛(診察や画像検査(X線やMRIなど)で腰痛の原因が特定できない腰痛)は、実に腰痛全体の85%を占めるとされますが、もちろん手術療法の対象外です。
中国医学では、
「痺証」の原因を大きく4つに分けます。
風邪、寒邪、湿邪、熱邪。
このいずれかの邪が(1つとは限りませんが)
身体に侵入し、
経絡に阻滞(血行が悪くなり経絡が滞る)することによって
「痛み」症状を引き起こすと考えられています
(不通則痛)。
鍼灸治療でも漢方治療でも、
鎮痛剤で「痛み」症状を抑えるような治療はせず、
「痛み」の原因である邪を身体から取り除き、
患部の血行、リンパや神経、ホルモンの流れの不通状態を正常に戻し
「痛み」を根本的に治すのです。
例えば、湿度の高い梅雨のこの時期、
腰痛や頚椎症、リウマチなどを患っている人が、
天気の崩れる前日頃から「痛み」がひどくなったりするので、
天気予報士のように明日の天気を言い当てたりする場合があります。
これは低気圧が近づき湿度も高くなり、身体に湿邪が侵入し始めるからです。
梅雨の頃、シクシク痛み出す、あるいは、症状が重くなる前に、鍼灸治療や漢方治療で「痛み」の根本治療を受けることは大切です。


