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2009年4月号 不妊治療と中国医学

「妊娠を希望しているのに思うようにいかない」「病院で不妊症の治療を受けているがなかなか改善されない」「体外受精や人工授精を何回も受けていますがだめでした」など不妊症に悩む夫婦は非常に多い。

不妊症現代医学での女性における不妊症の原因は、排卵障害・輸卵管閉塞・子宮内膜症・子宮腺筋症・免疫性不妊などに分類され、不妊治療が進められるが、現代医学による不妊治療の成功率は通常20%~28%といわれている。そこで中国医学(鍼灸治療・漢方薬)と高度生殖医療(不妊専門外来)を併用することで成功率を引き上げる「統合医療」が欧米では多くの医療機関で取り入れられ始めている。

中国医学では、不妊症を大きく以下の5つに分類し、丁寧な問診から総合的に診断し、それぞれの型(タイプ)にあった適切な治療を行う。

  1. 腎虚型:患者の多くは生理周期が遅れ、経血色は淡く、希薄。あるいは希発月経である。倦怠感が強く腰膝がだるい。性欲は低下し、小便は清長(色が薄く量が多い)。
  2. 血虚型:生理周期が遅れ、経血量は少なく色が淡い。体型は痩弱であり顔色も血色を欠き、眩暈や動悸を起こしやすく、全身がだるく倦怠感を伴う。
  3. 肝鬱型:生理不順であり生理痛を伴う。経血量は少なく色は暗く、おりものに小さな血の塊が混ざる。生理前に乳房に張りやしこりができ、精神不安定となりやすく、怒りっぽくなる。
  4. 痰湿型:体型は肥満気味で,生理周期が遅れる。おりものは量が多く、質は粘稠性。顔色は黄色っぽい。胸の痞え及びむかつき、眩暈や動悸を伴う。
  5. 血?型:生理周期が遅れ、経血量は少なく色は黒紫で、生理痛あるいは経血に血の塊を含む。腹部の痛みを伴い押えると痛みが増す。

鍼灸治療や漢方薬では以下のような効果がある。

  • ホルモンバランスを改善し、妊娠しやすい状態を保つ。
  • 卵巣の機能を向上させ、質の高い卵子が育てられる。
  • 不妊治療薬の副作用を軽減する。
  • 子宮の血行を促進し、受精卵の着床を安定させる。
  • 過度の排卵誘発剤の使用で低下した卵巣機能を回復させる。
  • 不妊治療から受けるストレス、体調不良や精神面の不安を解消する。

世界保健機構(WHO)による不妊の診断標準は、

  1. 普通の夫婦生活を2年続けても妊娠しない場合
  2. 婦人科内診:内外生殖器の発育が正常である
  3. 婦人科:超音波検査により内外生殖器炎症および腫瘍などの器質性病変がみられない
  4. 腹腔鏡検査により卵管が正常である
  5. 子宮鏡検査により子宮内膜ポリーブ・内膜がん・子宮内膜の腫瘍などがみられな
  6. 基礎体温(BBT)3ヵ月単相ありプロケステロンP<5ng/ml
  7. 配偶者の精液検査が正常である

投稿者:tcm-editor

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