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2026年2月号 耳管開放症の中国医学治療

耳管(耳と鼻をつなぐ管)は、普段は閉まっているもので、あくびをしたり、唾をゴクッと飲み込んだ時にだけ瞬間的に開き、すぐにまた閉じます。
しかし、何らかの原因で耳管がしっかり閉じなくなる或いは開いたままになる病気が、「耳管開放症」です。
自分の声や呼吸音が大きく響く(自声強聴・自己呼吸音聴取)や耳がつまった感覚(耳閉感)といった症状が起こります。

原因は、ダイエットなどによる体重の急激な減少が主で、この他に、ストレス、脱水、妊娠や女性ホルモン薬の使用などがあり、30〜40代の女性に多いとされています。
また、生まれつきの耳管構造の弱さなどが原因の場合もあります。また、頭の位置を下げたり、横になると症状が軽くなるのが特徴です。

病院では内服薬治療として、ATP製剤(血管拡張薬)を処方しますが、なかなか改善されず慢性化するケースもあり問題です。
また、重症の場合は、耳管の周りに薬を注入して膨らませる「耳管注入療法」や手術が検討されます。

中国医学では、「耳管開放症」を「耳脹耳閉」「耳竅不利」と呼び、原因を大きく5つのタイプに分類し治療します。

  • 1,【外感風邪】外部から侵入する「寒邪(冷え)」「風邪(風)」の要素が組み合わさった感冒の引き始めに、鼻水・鼻づまりと同時に起こるタイプ。
  • 2,【肝気鬱結】精神的ストレスや感情の抑圧により、気(エネルギー)を巡らせる「肝」の疏泄機能が低下し、全身の気の流れが滞った(血管の収縮・拡張がうまくいかない)ために起こるタイプ。
  • 3,【脾胃虚弱】消化吸収を司る「脾」と、食物を受納する「胃」の機能が低下し、食欲不振から気虚(エネルギー不足)になり、気(エネルギー)や栄養の全身への運搬がうまく行われないために起こるタイプ。
  • 4,【気滞血瘀】ストレスなどで気(エネルギー)の巡りが悪くなる「気滞」と、血が滞る「血瘀」が合わさった状態で、血流が悪くなるために起こるタイプ。
  • 5,【腎精不足】「腎は耳に開竅する」といわれ、耳は腎と深い関係があります。生命力の根源である「精(せい)」が腎に蓄えきれず不足し、深刻なエネルギー不足(気虚)で、耳の機能が減退し、起こるタイプ。

鍼灸治療では、まず、局部治療として、耳の近くの経穴(ツボ)に刺鍼し、耳管周囲の血流を良くし、内耳の栄養状態を改善して耳管機能を回復させます。
さらに中国医学の診断・体質分析から5つの原因タイプに分類し、それぞれに合わせ、風池穴、太衝穴、足三里穴、三陰交穴、太渓穴などの経穴(ツボ)から選穴し、併せて全身治療も行うことで、対症療法ではなく、根本的に体質から改善し、再発しない根治を目指します。

投稿者:tcm-editor

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