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2025年10月号 脊柱側湾症の鍼灸治療

脊柱側弯症とは、背骨が側方に曲がり、ねじれを伴う状態です。多くの場合、原因が不明な「特発性(約60~70%)」のものが多く、特に成長期に発症しやすいとされています。進行すると、見た目の歪みだけでなく、腰背部痛や肺活量の低下、内臓機能の低下などの原因になることがあります。発症時期によって、乳幼児期側弯症、若年性側弯症、思春期側弯症に分けられ、特に思春期に発症・進行するものが最も多いです。他の病気(神経・筋の異常)が原因で起こる場合もあります。

脊柱側弯症の西洋医学治療では、早期の場合には、コルセット着用、電気療法、鎮痛剤服用等の保存的治療を行いますが、手術が必要となるような重症化する場合もあり問題です。

「脊柱側弯症」の中国医学での症状名は、「脊強(脊椎の強ばり)」「背僂(せむし)」が近く、「骨痺(こつひ)」のカテゴリーに分類されています。「骨痺」とは、人体の筋肉、骨、関節の気血の流れが悪くなり、手足が重くなり、関節が痛み、さらには関節の拘縮や屈曲、強直性変形を引き起こす中国医学の病名です。現代医学の病名で言うと、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、変形性関節症、変形性関節症、多発性骨髄腫等です。 中国医学では、脊柱側弯症の脊椎周囲の強ばり、変形、湾曲を起こした原因を大きく4つに分け、治療します。

○ 肝腎不足『肝血(肝は筋肉を司り、肝に蓄えられた血液によって、筋肉は養う)と、腎精(腎は成長、発育に関する生命力の源と考えられ、骨の発育にも深く関わる)が不足した状態』
○ 気滞血瘀『長期の不良姿勢や、外傷などで「気(エネルギー)」の巡りが滞る「気滞」と、その結果として「血(血液)」の流れが悪くなる「瘀血(おけつ)」が合わさった状態』
○ 外邪侵襲「風・寒・暑・湿・燥・火といった外部の「外邪」が身体に侵入し、気血の流れを妨げた状態」
○ 先天の精不足『遺伝的要因や胎児期の栄養、母体の状態など、生まれつき持っている生命エネルギー(精気)が弱い状態』

最後に、脊柱側弯症に対する中国医学治療(鍼灸、漢方薬)は、それぞれのタイプに応じた根本的な体質改善治療と、局部的な治療として側弯によって緊張が強いられている筋肉をゆるめ、血行を促進することで、筋肉の強ばりや、凝り、痛み等のつらい症状を緩和し、身体機能の改善を合わせて行います。

『中国医学は、現代医学とは違う角度から人体を診る、もう一つの医学なのです』

※骨格構造に起因する構築性側弯症の場合は、西洋医学的な診断と治療を併用することが大切です。

投稿者:tcm-editor

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